組み込みハードウェアとは?組み込みハードウェアの種類・設計要素・設計のポイントを解説!
組み込みハードウェアとは、「組み込み機器に使用される、特定用途に限定されたハードウェア」のことです。当記事では、組み込みハードウェアとは?組み込みハードウェアの種類・設計要素・設計のポイントについて詳しく解説します。組み込みハードウェアの基礎知識を知りたい方に是非読んでいただきたい記事です!ぜひご覧下さいませ。
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組み込みハードウェアとは?
組み込みハードウェアとは、「組み込み機器に使用される、特定用途に限定されたハードウェア」の事を言いますが、上記では分かりにくいため、もう少し詳しくご説明致します。
ソフトウェアと組み込みソフトウェア
組み込みハードウェアについて説明する前に、組み込みソフトウェアと組み込み機器について説明致します。
機械装置や電子機器を構成する要素には大きく分けて、ソフトウェアとハードウェアがあります。
ソフトウェアとは、コンピュータを動かすプログラムのことです。「Aという信号が入力されたらBという行動を起こす」といった、いわゆる「制御する仕組み」がソフトウェアであり、ソフトウェアがない限り機械や装置、電子機器は動作しません。
また、特定用途向けに限られた機能を果たすソフトウェアを、組み込みソフトウェアと言います。組み込みソフトウェアは、OS等のアプリケーションソフトウェアと異なり、特定用途に特化します。
例えば、自動改札機は「正式な切符か判断する、乗り越し料金が発生しないか判断する、切符を通したら改札を開く」といった特定の動作を行なうようにプログラミングされており、自動改札機用のソフトウェアで、ゲームソフトを開発することは出来ません。
組み込みソフトウェアについては以下の記事で詳しく解説しておりますので、こちらもご覧ください。
機器と組み込み機器
上記で説明した組み込みソフトウェアは、機械装置や電子機器を制御するための必須要素であり、人間でいう脳の役割を果たします。しかし、人間でいう手や脚といった構成要素がなければ、脳の制御は意味を成さず、動作を行なうことが出来ません。この手や脚と言った構成要素がハードウェアであり、ソフトウェアとハードウェアが組み合わさったものが「機器」となります。
機器の中で、「特定用途に特化した機器」を組み込み機器といいます。TVや冷蔵庫といった完成品の家電も組み込み機器であり、それを構成する1つのユニット、例えば冷却装置や液晶ディスプレイも組み込み機器と言ったりします。(組み込み機器に明確な定義はなく、ユニットを組み込みハードウェアという場合もあります)
組み込み機器については以下の記事で詳しく解説しておりますので、こちらもご覧ください。
ハードウェアと組み込みハードウェア
冒頭で、組み込みハードウェアとは、「組み込み機器に使用される、特定用途に限定されたハードウェア」のことと記載しましたが、組み込みソフトウェア、組み込み機器をご紹介した後であれば、わかりやすいかと思います。
機器を構成する要素には、ソフトウェアとハードウェアがあります。そして、特定用途に特化した機器を組み込み機器といい、組み込み機器を構成する要素として組み込みソフトウェアと組み込みハードウェアがあるわけです。
つまり、組み込みハードウェアとは、繰り返しますが、「組み込み機器に使用される、特定用途に限定されたハードウェア」のこと、となります。
組み込みハードウェアの種類
組み込みハードウェアは「組み込み機器に使用される、特定用途に限定されたハードウェア」のことと前述しましたが、組み込みハードウェアの種類には、どのような物があるのでしょうか。
特定用途に特化した組み込み機器として、TVを参考に、組み込みソフトウェアと組み込みハードウェアに分類してみます。
<組み込みソフトウェア>
LGPLソフトウェア
<組み込みハードウェア>
筐体、液晶パネル、基板、各種素子、プロセッサ…
このように、組み込み機器に使用されるソフトウェア以外は、組み込みハードウェアと言われる構成要素であり、組み込みハードウェアの定義は非常に幅広いことが分かります。
組み込みハードウェアの設計
組み込みハードウェアには多数の設計要素があります。それは、前述した通り、組み込みハードウェアの構成要素が幅広い為です。
プロセッサ、FPGA、ASIC
機械を動作させる上で、組み込みソフトウェアで動作させるプロセッサやマイコンがあるのに対し、ハードウェア言語で記述し動作させるASICやFPGAが存在します。
FPGAについては、こちらのコラムで詳しく説明していますので詳細は省略しますが、上流工程である「制御」といった段階でも、ハードウェア設計が必要になる場合が多くあります。
基板
FPGAやASICといったハードウェアを設計しても、機械装置や電子機器は動作しません。動作をさせる為には、必ず基板が必要になり、基板に関してもハードウェアに分類されます。
基板設計の工程として、回路設計やそれに伴う部品選定が必要であり、部品ライブラリ作成、ネット作成、その後設計した基板が正常に動作するかを確認する放射ノイズ解析、電装線路解析等のシミュレーションも、基板設計の重要な要素となります。
筐体
機械装置には必ず筐体(カバーやベースなど、装置を構成する板金等の部品)が必要です。筐体設計には、各種加工部品の設計、完成品のレイアウト設計などが必要となり、要求仕様に応えることのできる最適なメカ設計が必要となります。
機械装置
各種組み込みハードウェア、ソフトウェアという構成要素を組み合わせ、完成品として動作させるための装置設計が、最下流の組み込みハードウェア設計要素となります。組み込み機器の設計とも言えますが、組み込みハードウェアの設計を行う上で、機械装置全体として設計を行なうことが、重要となります。各種ハードウェアの組み込みや配線、取り回しの設計も必要となります。
組み込みハードウェアの設計のポイント
これまで見てきた通り、組み込みハードウェアの設計要素は多岐に渡ります。
各種ハードウェア設計のポイントについての説明は別記事に譲るとして、機械装置全体を設計するうえでの、一番重要なポイントは何でしょうか。
それは、「設計の一貫性」です。
組み込み機器を構成する組み込みハードウェアは、多岐に渡るため、様々なチームが関わり、機器設計を行ないます。
そのため、システム全体を考慮し同じ思想で設計を進めることが難しく、各々独自の設計を行なうことで、最適な組み込み機器の設計ができない場合も多くあります。
また、組み込みハードウェアは専門性が高い分野であり、特にハードウェア言語を用いたFPGA、ASICなど制御部分の設計を外注する場合も多く、多数の企業が関わるために統一感のない、非効率な設計が行なわれることが懸念されます。
お客様ニーズを的確に捉え最適な仕様策定と設計を行うためには、全体の仕様だけでなくモジュールやサブシステムの仕様についても最適化が必要です。最終用途には必ずしも必要のない工程間の仕様すりあわせや、機能接続のための変換機能などを積極的に削除することでお客様ニーズに見合うむだのないシステム、ハードウェアを構築することができます。
まとめ
当記事では、組み込みハードウェアについて説明させて頂きました。
組み込み機器・ハードウェア 設計製作.comを運営するアイディアイでは、FPGAやASICの設計、基板・回路設計~筐体・装置設計まで一貫して社内で対応します。そのため、前述した「設計の一貫性」が担保され、高付加価値・高品質な組み込み機器・組み込みハードウェアを設計できます。また、基板実装や装置製造といった製造フェーズも社内で対応できるため、外注を仕様しないことによるコストダウン・短納期化と、設計変更への柔軟な対応が可能となります。
組み込み機器、組み込みハードウェアについて、委託先をご検討中の皆様、お気軽に当社に御相談下さい。
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