ハードウェア設計を外注する際に注意すべき点
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組み込み機器・ハードウェア設計製作.comでは、技術資料を無料で発行しております。
組み込み機器の基礎知識や設計開発のポイントについて分かりやすくまとめた資料となっており、
新任設計者のための教育用だけでなく、ベテラン設計者のため知識の復習用としてご活用いただけるものとなっております。組み込み機器の設計開発 入門書として是非ご活用いただき、皆様の設計開発のお役に立てれば幸いです。
ハードウェア設計について
「ハードウェア設計」と一口に言っても、設計する要素は多数あります。それもまた、10、20といったレベルではありません。これは機器に使用されるソフトウェア以外は、ハードウェアと言うことができ、ハードウェアの定義が非常に幅広いためです。例を挙げると下記の通りとなります。
<ハードウェア>
筐体、液晶パネル、基板、各種素子、プロセッサ…
また、具体的な設計要素としては下記の通りとなります。
①プロセッサ、FPGA、ASIC
②基板
③筐体
④機械装置 等
これらの設計要素と、設計のポイントについては下記記事で詳しく解説しておりますので、是非ご覧ください。
>>組み込みハードウェアとは?組み込みハードウェアの種類・設計要素・設計のポイントを解説!
このように多数の設計要素を持つハードウェア設計ですが、外部に委託する際にはどのような点に注意する必要があるのでしょうか?
ハードウェア設計を外注する際に注意すべき点
結論から述べると、ハードウェア設計を外注する際に注意すべき点は、「システムの曖昧性」です。一般的に、顧客がハードウェア設計を外注する理由は、社内で開発・設計要因がいないためであり、システムの細部まで決めようとしても知識上厳しいものとなっております。しかし、システムの細部が決められておらず、「曖昧」な状態でベンダーに見積もり依頼をすると、ベンダーは要件や仕様を今までの経験や予想から、見積りを作成せざるをえなくなってしまいます。これにより、顧客からベンダーへの要求が伝わりきらないということだけでなく、見積額を必要以上に高くしてしまう恐れがあります。また、相見積もりをしたとしても、似て非なるシステムを三者三様で見積もることとなってしまいます。このようなトラブルを防ぐためには、契約前にシステムの細部を全て固めることが最適ですが、これは膨大な時間が必要になるため、あまり現実的ではありません。したがって、契約締結後にベンダーと一緒に細部を詰めていく必要があります。ただ、システムの細部が決まっていない状態で見積もり依頼をすると、前述の通りコストアップに繋がってしまうため、可能な限り顧客側で決めておく必要があります。次章で顧客側が最低限委託先に伝えるべきポイントをご紹介します。
ハードウェア設計で委託先に必須で伝えるべきポイント
計測器を製作する場合を想定すると、必須で伝えるべきポイントは下記の通りとなります。
①搭載する機能リスト
測定チャンネル数、測定レンジ、外部インターフェース 等
②個々の機能の性能要件
サンプリングレート、測定精度、処理速度 等
③一般仕様
大きさ、重さ、入力電源、消費電力 等
例として上記の3種類を挙げましたが、「曖昧性」を可能な限り排除することが、顧客の要求通りのシステムの実現に繋がるため、決まっていることは可能な限り伝える必要があります。また、決まっていないことについて、「後は適当に設計しておいてください。」とベンダーに丸投げしてしまうと、過少・過大な機能に繋がりかねないため、ベンダーと情報交換の時間を作り、細部まで決めきることをオススメします。
当社が設計開発を手掛けた事例
SoC画像処理ボード 開発
産業機械メーカー様より、専用用途の画像処理装置を製作してほしいとのご依頼を頂戴しました。 当メーカー様より、組み込みボードの製作を多く依頼頂いていましたが、従来FPGAにて開発していました。
しかし、今回は、納入後に自社にて柔軟に制御変更できるようにしたいとのご要望がありました。納入後の制御仕様変更に対応できるように、SoCを使用して設計しました。 SoCはLinuxが使用できれば制御仕様の変更が可能であり、お客様先で柔軟な制御仕様変更を行えます。CPUを使用せず、SoCを使用することでコスト最適化も実現でき、量産時のコストダウンが可能となりました。
Bluetooth通信治具 開発
音響機器メーカー様向けに、Bluetooth通信治具を開発した事例です。 Bluetoothヘッドセット製品に向けてHFPプロファイルにて製品とペアリングし、オーディオデータの入出力を確認できる装置の製作をしたいというご要望でした。PCを使用することで試験を行うことも可能ですが、インラインで使用し、安定稼働を実現するために専用冶具を製作したい、当社にお声かけ頂きました。
お客様のご要望に基づき、以下のような仕様を組み込みました。
①基板のSDカードに入れたWAVファイルをBluetoothを介して製品に送信し、製品のヘッドフォンから音声出力
②基板内マイコンのプログラムにてオーディオデータ(サイン波)を生成し、Bluetoothを介して製品に送信し、製品のヘッドフォンから音声出力
③製品のマイクから入力されたオーディオ信号をBluetoothを介して基板にて受信し、基板上のDACを介して基板のアナログポートから出力
納入時には使用していませんが、A2DPプロファイルにも対応可能な仕様としました。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
ハードウェア設計を外注する際に注意すべき点についてご理解いただけましたか?
組み込み機器・ハードウェア設計製作.comを運営する株式会社アイディアイでは、組み込み機器ならびにハードウェアの開発や受注製造を行っております。
「用途に適した組み込み用ボードが欲しい」「小規模化のためのサポートを依頼したい」などなど、組み込み開発にかかわるご相談はぜひ当社までお気軽にお申し付けくださいませ。
弊社担当よりお返事させて頂きます。
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