組み込みボード 設計開発ナビ
組み込みボードは、小型・軽量・低消費電力など、汎用コンピュータでは対応できない様々なシステムで活用されています。しかしほとんどのケースで汎用コンピュータに比べハードウェア性能を落とす必要があるため、必要な性能を満たすことができないなどの課題が発生しやすくなります。
ここでは組み込みボードの特長を活かしシステムを最適化するために必要なポイントをご紹介します。
組み込みボードを設計開発する上でのポイント
組み込みボードに搭載されるマイコンは主要機能をプログラムにて動作させることが前提となります。そのためソフトウェアが正常かつ安定して動作するようハードウェアを設計する必要があります。また、ソフトウェアと異なりハードウェアは容易に変更を行うことができないため、プロジェクト全体を通してハードウェア設計段階で考慮しておくべき点をあらかじめ整理しておく必要があります。
・主要デバイスの選定
ソフトウェア/アプリケーションに要求される動作、組み込みOS・ミドルウェアなどの前提条件、アプリケーションが取り扱うデータのサイズ、データレート、ハードウェアに要求される供給電源、外部インタフェースなどの各条件を整理し主要デバイスを選定します。連続データの高速デジタル処理を含む場合はPLDの応用を検討します。
・簡易試作・機能チェック
評価ボードやブレイクアウト基板等を使用した簡易試作を行い、テストプログラムにてメモリ(RAM,ROM)容量の確認、ソフトウェアの機能チェックを行います。模擬対向機やテストベンチを準備し全体動作を通して処理性能を満たせるか実機テストを行います。
・回路検討
複数の内部電源が必要となる場合はデバイスが要求する電源の投入順序、タイミングに合わせ必要な回路検討を行います。
・回路要求を満たすかチェック
周辺回路を含めデバイスのI/Oピンの定格/DC/AC特性を確認し回路要求を満たせるか確認を行います。
・イレギュラーな状況の想定
ソフトウェアが正常に動作できないような状況についても考慮する必要があります。電源異常の監視、各配線ラインの過電圧保護・過電流保護など、状況に合わせた機能をハードウェアにてカバーする必要があります。
当社の組み込みボード 設計代行事例
POINT CAN通信治具 設計開発
RS232Cを介してCAN通信制御を行う通信治具を開発した事例です。
お客様のご要望に基づき、以下のような仕様を組み込みました。
①CANの機能が入っているマイコンを選定
②受信、手動送信、自動送信に対応
③ハードウェアはHighspeed/Lowspeed/SingleWireに対応
④DTCを使用し、少ないハードリソースでもレスポンス低下を回避
今回使用したマイコンにはCANID32個を扱える機能が入っているが、IDを超える仕様であり、DTCを活用して対応しています。
POINT Bluetooth通信治具 設計開発
Bluetooth通信治具を開発した事例です。
お客様のご要望に基づき、以下のような仕様を組み込みました。
①基板のSDカードに入れたWAVファイルをBluetoothを介して製品に送信し、製品のヘッドフォンから音声出力
②基板内マイコンのプログラムにてオーディオデータ(サイン波)を生成し、Bluetoothを介して製品に送信し、製品のヘッドフォンから音声出力
③製品のマイクから入力されたオーディオ信号をBluetoothを介して基板にて受信し、基板上のDACを介して基板のアナログポートから出力
納入時には使用していませんが、A2DPプロファイルにも対応可能な仕様としました。
POINT シリアル通信ボード リバースエンジニアリング
MC68000マイコン系システムで使用されていたシリアル通信ボードを置き換える、組み込みボードを製作した事例です。
動作仕様の変更はありませんでしたので、回路変更なく、同様の基板を製作する運びとなりましたが、古いボードであり、図面がありませんでした。そこで、現物を確認し、回路やパターン、使用されている部品を確認しました。
前述のとおり、終息部品が多く使用されていましたが、入手できる同等部品を調達し使用しました。 動作検証の上、問題なく稼働できることを確認し、納品させて頂きました。
組み込みボード に関する関連記事
-
FPGAとは?メリット・デメリットについて解説!
本記事ではFPGAとは何かについて、わかりやすく解説します!
FPGAとよく混同されがちな、マイコン、CPU、CPLD、DSP、GPU、ASIC、ASSPとの違いについてや、メリットデメリットについて詳しく解説します! -
組み込みソフトウェアとは?搭載機器や開発の流れ、開発言語について解説!
組み込みソフトウェアとは、ある特定の機能を実現したシステムを用いて作られた機器に搭載され動作を制御するプログラムのことです。
この記事では、組み込みソフトウェアを搭載している機器の具体例、開発の流れ、そのプログラミング言語を解説しています。組み込みソフトウェアの基礎知識を知りたい方にぜひ読んでいただきたい記事です!ぜひご覧下さいませ。 -
組み込みハードウェアとは?組み込みハードウェアの種類・設計要素・設計のポイントを解説!
組み込みハードウェアとは、「組み込み機器に使用される、特定用途に限定されたハードウェア」のことです。当記事では、組み込みハードウェアとは?組み込みハードウェアの種類・設計要素・設計のポイントについて詳しく解説します。組み込みハードウェアの基礎知識を知りたい方に是非読んでいただきたい記事です!ぜひご覧下さいませ。
-
CPLDとは?CPLD入門、メリット・デメリットについて解説!
CPLDとは、製品の購入後にユーザーによるプログラムの書き換えが可能なデバイスのことです。
本記事では、CPLDについての概要、FPGAとの違い、メリットとデメリット、使用例やメーカーについて解説しています。