機能・性能試験装置 設計開発ナビ
電子電気機器の試験を行う装置やシステムでは、
一般的に計測器を用いて製品の特性を測定し、コンピュータから自動制御する方式が採用されます。製品と計測器とを適切に接続し、必要に応じて計測ラインの切り替えを行うなどとともに、測定スピードや常時ロギングなどの動作も求められます。
ここでは試験装置の設計開発時のポイントをご紹介します。
機能・性能試験装置を設計開発する上でのポイント
製品の自動試験装置ニーズにおいては電圧・電流・周波数などの基本測定に加え、計測器の切替、映像や音声などの大容量データのロギングが必要となりシステムの基本設計の段階で必要なハードウェア性能の検討が必要となります。安定した試験動作を実現するために必要充分なハードウェア構成を決定することが重要です。
・機能の基板化による小型化
汎用制御機器でシステムを構成する場合、各部品の大きさの制約で最終ラックが2つになってしまうなどサイズ面でのデメリットが生じ、収納スペースや移送の手間など使いにくさにつながります。ハードウェア機能を必要充分なものに限定して基板化し各部品を小型化することで装置全体のサイズを縮小することができます。
・専用ハードウェアによる機能特化
汎用制御機器を使用した場合、用途に見合うものを選定することになりシステム仕様は機器仕様の制約を受け細かい要求に対応できないケースが生じます。個々のハードウェアから検討・製作することでシステム開発時の制約を大幅に拡大することができます。各ハードウェア要素はモジュール単位で個々に設計・テストを行いボトムアップにて設計を進めることで開発工数を削減します。
・サブシステム化によるメイン負荷の削減
連続した単純動作を小さな基板やコントローラに割り当ててサブシステム化します。必要に応じてサブシステムにストレージを搭載しファイル共有を行います。複数製品の同時制御を行う場合、個別にコントローラを設けることでメイン動作のレスポンスが個々の製品の動作状況に依存せず安定した動作を実現することができます。
・RAMディスク活用によるログ抽出
連続試験を想定した装置の場合、単位時間あたりのログデータサイズが大きくなり常時詳細データのロギングを行うことが困難となります。そこでRAMディスクに常時詳細ログを出力し、イベント発生時に不揮発領域にフラッシュすることでイベントに関連付けられた詳細ログを保存することができます。
・校正対象機器のリムーバブル構造
電源、各種メーターなど校正対象の計測器は取り外せる構造とすることが求められます。容易に脱着でき搬送時の衝撃に耐えうるラックマウントを検討します。
当社の機能・性能試験装置 設計代行事例
POINT 光学ドライブ用試験装置 設計・開発事例
光学ドライブを10台同時に試験できる試験装置を設計・開発した事例です。
お客様のご要望に基づき、以下の仕様を組み込んでいます。
①ユーザプログラムにて製品と恒温槽を同時制御し、異常発生を監視する
②製品ごとにUSBデバイスとしてのメディアプレイヤー制御を実装
③各製品を個々のLinuxPCで制御、各種メディアの再生/停止/Eject/送り/戻しなどを実装
POINT 液晶ディスプレイ用試験装置 設計・開発事例
液晶ディスプレイを12台同時に試験できる試験装置を設計・開発した事例です。
お客様のご要望に基づき、以下の仕様を組み込んでいます。
①ユーザプログラムにて製品と恒温槽を同時制御し、異常発生を監視する
②各製品はCAN通信で制御する(自社オリジナルCAN制御基板にて実装)
③電圧電流測定については光学ドライブ装置と同等
④恒温槽内に設置された製品(最大12台)の液晶ディスプレイをカメラで撮影し、期待する動作をしていることを監視する
POINT 小型波形スコープ 設計・開発事例
小型波形スコープを開発した事例です。
お客様のご要望に基づき、以下の仕様を組み込んでいます。
①形状判定の仕様として、スイッチのクリック感をロードセルに入力しその波形を判定する
②DSP,DMAを使用し計測やタッチパネルのレスポンス低下を回避
当事例では、低コストを実現するために、OSを使用せずにゼロからプログラムを自社開発しています。ソフトウェアは、お客様にてカスタマイズがしやすいようにC++のクラス構造とし、GUIは各種アプリケーションに流用可能としました。
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